「愛・女・教師 -I・wanna・teacher-」
その日に始まる魅惑の事件を、アキラは忘れることができない。
唐突に赴任してきた、美貌の、美脚の、そして媚乳を兼ね備えた、
女教師・メグミ。その姿が男子生徒の口に上り、脳にとどまり、そ
して妄想の栄養源になるまで、ものの一昼夜とかからなかった。
無論それはアキラも同様だった。日本史という地味な授業を担当
するメグミは、教科書を読み上げながら教室の中をを行き来する。
白いブラウスに浮き上がるブラの線に、無難な色のスカートにわず
かに伺えるショーツの線に、その下から伸びてゆく黒いストッキン
グに包まれた脚に、アキラは想像を絡めて興奮した。
だが。
下着の線もストッキングも、いわば前菜にすぎない。
「このように当時の律令制度は…」
言いながらくるりとメグミが振り向く、その瞬間がたまらない。
ブラで抑制されながらも、ゆさっ、と揺れる、それはアキラの知る
限り、豊かで美しい乳房だった。
「あの胸をこう、ぎゅーっと揉んでみたいよな〜」
昼休みに屋上で、アキラは友人の妄想を笑いながら楽しむ。
「メグミ先生が体育の教師だったらいいのになあ。水泳の授業とか」
バカかおまえは、とアキラは毒づいてやりながら、瞬時に想像を
組み立てる。その中のメグミはなぜかスクール水着で、溢れんばか
りの胸を無理矢理に水着に押し込んで立っているのだった。
「教師が水着着て授業するか?大抵ジャージだろ」
「あ、そうか。じゃあ一歩譲ってブルマー履いてほしい」
友人の濃い趣味に、口から牛乳を飛ばしながらアキラが笑った。
それでもしっかり、ヒップを詰め込んでぱんぱんに張ったブルマを、
恥ずかしそうに上着で隠すメグミの肢体を想像した。
メグミ先生は、希望の星だった。退屈な毎日に一滴落ちた、乳と
蜜の香りを放つ香水のようだった。そのメグミを時には縛り、その
豊かな乳房を際立たせて、後ろから犯すか、いやいや乳首が真っ赤
に充血するくらい嬲ってやろうか、穴の開いた下着を履かせてポー
ズをとらせるのもいいな、と、妄想をいいことに、アキラは好き放
題メグミをおかずに、熱心に自慰にふけり、気持ちよく寝た。
そして毎朝、学校へいくため電車に乗る。混雑はきついが、学校
に行けばメグミ先生がいるのだと思うと、苦にもならなかった。
しかしその日は、いささか勝手が違った。
忘れ物のせいでいつもの電車に乗り遅れ、ギリギリ間に合う時間
の便に駆け込んだアキラは、そこで意外な人を見た。
その顔その胸その身体、間違うことなき、それはメグミ先生だ。
ただそれが異様に見えたのは、彼女を包囲して立つ、他の乗客の存
在だった。
一、二、三、四…合計五人。いずれも背広を着た、ありふれたサ
ラリーマンといった顔だ。職員室にも似た顔の男は大勢いる。その
男達がメグミを取り囲み、異様な空間を構成していたのだった。
(集団痴漢?)
アキラがそう思うのも無理はない。が、その割にメグミの表情は
穏やかだった。薄く眼を閉じ、電車の揺れに身体を任せているよう
に見える。
ボディガードか。しかしそんな身分であるとは思えない。だいた
いVIPなら電車に乗らず、学校までリムジンやらに乗ればいいのだ。
アキラはあれこれ考えたが結論は出ず、そのうち電車は学校に一番
近い駅に着いてしまった。手近なドアからメグミが降りてゆくのを
確認して、アキラも人波を押し分けて電車を降りた…。
その日は無難に暮れた。日本史の授業はなかったので、メグミ先
生に会うことは叶わず、アキラは寂しく帰ろうとした。
アキラのいる教室から靴を履きかえる玄関へ行くには、必ず職員
室の前を通らねばならない。ガラス越しに室内の様子を伺ったアキ
ラだが、そこにメグミの影を見つけることはできなかった。
軽く舌打ちして、今度こそ帰ろうと、廊下をの角を曲がったとき。
すっ、と優美な胸が、まずアキラの視界に飛び込んできた。それ
はあまりに近く、突然だったから、アキラは足を止められず、その
胸にめり込んだ。
「きゃ!」
可愛い悲鳴があがる。顔面に感じた乳房の感触は、刹那の間、ア
キラを夢見ごこちにさせた。が、自分を見つめる視線を感じ、顎を
かすかに上げると、息がかかりそうな距離で、メグミの顔がそこに
あった。
「あ、す、すいません!」
反射的にアキラは謝罪した。メグミは軽く眉を寄せて、
「気をつけてね」
静かに言い、身体を滑らせてアキラをかわし、歩み去っていった。
アキラの鼻にコロンのいい香りが届き、それを逃すまいと息を思い
切り吸い込んで、アキラは幸せを噛み締めた。
あの肉体が、廊下を遠ざかっていくのを、アキラは見た。それは、
本当に、美しかった。
肉を感じたことで、アキラの心の中にあるメグミの虚像が、より
淫猥に彩られていった。授業を行う横顔を見るだけで、そのかんば
せがたまらない魅力を放っている。それにしても、あの男達は気に
なる。思考がでたらめに連結し、妄想が淫欲に変貌するまでに、さ
ほど時間はかからなかった。
アキラは乗る電車を変えた。メグミと出合った時間の、ぎりぎり
学校に間に合う便だ。そしてメグミが乗り込む場所も確認した。あ
の男達は、別々の駅で乗ってきて、さりげなくメグミの周りに集う。
そして彼女の周りに肉の壁を築くのだ。
アキラもまた、さりげなくを装い、その壁に近づく。男たちと目
を合わせないようにしながら、集中力を目一杯高めて、その集団を
観察した。
やはり。
メグミはその壁の中で、左右にいる男達の股間へ手を這わせてい
た。白い指を淫らにくねらせて、スラックスの前を探り、形を確か
めるように強く握ったりする。ジッパーを降ろして中身を取り出す
まではしなかったが、初心な男ならそこで射精しかねないほどの、
それは執拗な手指奉仕だった。
何日か観察を続けるうち、奉仕を受ける男は日替わりで、他の男
は壁に徹して、他の視線や本当の痴漢の介入を阻む、というように
役割を分担しているということがわかった。
しかし、とアキラは考えた。
たったあれだけの奉仕で、男達は満足しているのだろうか。もし
もあの中に自分が混ざれば、たまらずメグミに手を伸ばすだろう。
頑なに距離と節度を守る、騎士団のような謎の男達は、それとも、
メグミ女王様の下僕なのだろうか。アキラの疑念と妄想は、ますま
す膨れ上がっていった。
「今日は、テストをします。終わった人は先に教室を出ていいわ」
20ほどの設問が載った紙を配られ、恒例の小テストが始まった。
斜め読みでさっさと書き上げ、食堂へ急ぐ者、溜息をつきながら鉛
筆をひねる者がいる中で、アキラはまずまず順調に空欄を埋め、教
壇に立つメグミへそれを届けた。
「はいOKです」
メグミが頷く。テスト用紙に、小さく畳んだメモを添えて、アキ
ラはメグミへそれを渡し、そそくさと教室を出た。
メモにはこう書いてある。
「お話したいことがあります。電車の中とかのことです。今日の放
課後、旧生徒会の控え室で」
気もそぞろに昼食をとった後、友人との与太話にも加わらず、午
後の授業を静かに受けて、アキラの足はそこへ向いた。
光りの中に、埃が薄く浮いて見える。見るからに澱んだ空気を纏
うそこは、しばらく人が来ていないことを示していた。
鍵の壊れたドアを、音がしないようそっと開けると、
「…」
アキラの予想よりも早く、そこにはメグミが立っていた。機先を
制されたアキラは、目に見えて狼狽し、薄く笑いながら腕を組んで、
豊かな乳房を強調しているメグミに、瞬時に支配されてしまった。
「私に、何の用、かしら?」
その声は静かで優しい。黒く輝く瞳にも笑いが浮かび、どこも威
嚇する風ではないのに、アキラは言い知れないものを感じ、ぶるっ
と胴震いした。
「あ、あの、先生…僕、見たんです」
それでもなけなしの勇気を振り絞り、アキラは口を開いた。
「見たって何を」
アキラはメグミから視線を逸らした。逸らしながら続けた。
「先生が…電車の中で、男の人を触っているのを」
「ああ、それ。それが、何か?」
アキラは愕然とした。切り札はいともあっさり砕かれ、心の中で
小さな破片になって消えていった。
「い、い、いいんですか。先生が、その、あんなこと」
カッ。
かすかに床が鳴った。埃じみた空気を揺らして、メグミが距離を
詰め、わざとアキラにぶつかり、ドアに押し付ける形で、乳房を
押し当ててきた。
「あなたも、してほしいの?それとも、私を脅迫するつもり?」
優しい声で、メグミはアキラを追い詰めてゆく。いっそ怒るか、
泣くか、羞恥に頬を染めでもしたら、アキラにも付け入る隙はあっ
ただろうが、あまりにも真っ向に返されてしまったことで、アキラ
は胸の感触を楽しむどころではなかった。
「あの男はね、私のお友達。セックスフレンドとは少し違うけどね
…パーツフレンド、というところかな?」
聞きなれない言葉に、胸の谷間からアキラが顔を上げた。
「どういう」
意味ですか、と聞くより早く、メグミが言った。
「フェチって知ってるかしら。脚とか、胸とか、身体のパーツ単位
で好きな人がいるのよ。で、私の身体のそれぞれに契約をしてる
の。ちょっと変な契約でしょ、うふふっ…電車でのことは、契約
の利息ってところかしら」
メグミの身体から、甘い香りが立ち昇る。熱を帯び始めた股間を
メグミに気取られないように、アキラはかすかに腰を退いたが、既
に遅かった。あの指が電車の中と同じように伸びてきて、意外な強
さでアキラを握り締めた。
「ここは正直ね。ふふ、固いわ…大きさもまずまずね」
アキラの理性が切れた。手が上がり、まずそれは自分を責める肉
の果実へ向かった。
「触らないで。誰がいいって言ったの?」
声のトーンを変えないまま、容赦ない声でメグミが言い放った。
アキラの動きが凍りつき、切れた理性が無様に繋がる。
「ご」
ごめんなさいの言葉が出ない。ぱくぱくと唇が動くだけだった。
「…キミも契約する?」
混乱したアキラの脳に、それはガラスの棒みたく、鮮烈で真っす
ぐに投げ込まれてきた。
どういう意味なのか。
メグミ先生の正体は、誰なのか、何なのか。
契約って何だ。援助交際か、いわゆる愛人なのか。月に何万、い
やメグミの美貌なら何十万貢がねばならないのか。無論、アキラに
そんな金は無い。
「言っておくけど、契約はお金じゃないのよ。私が気に入ればいい
の。お金や物をくれることもあるけど、私からは求めないわ」
「じゃあ…僕はどうすればいいんですか」
「そうね。私の言う事を聞いて、時々行動してくれればいいわ。簡
単なお使い程度」
メグミの腕が優しく、アキラの身体にまわり、抱きしめた。肉の
密度が上がり、暖かい抱擁が、アキラの緊張を優しく解きほぐした。
「むぐ…」
いい香りがする。シルクだろうか、頬にすべらかなブラウスの感
触がある。思わず顔をすりつけると、乳房が心地よい反動を返して
きた。それを何度も何度も、アキラは繰り返した。
「ふふ…いいでしょ、あたしの胸」
たしかにそれは、たまらない感触だった。手を伸ばしても、それ
に触れても、もうメグミは何も言わない。むしろ身体を開き気味に
して、アキラが触りやすいようにしてくれた。
しゅしゅ。しゅ。
衣擦れの音がする。ブラウスに皺をこさえて、アキラはメグミの
乳房を愛撫する。手の中でそれは強い弾力を放ち、形を様々に変え
ながら、熱を帯びていった。
「いいです…とてもあったかくて、柔らかくて、大きくて」
素直に告げるアキラの額に、メグミはキスをくれた。
アキラの愛撫は更に続く。ブラウスのボタンを外し、複雑な模様、
たしかレースとかいうので編まれたブラジャーから盛り上がる、白
い肌の果実を目の当たりにして、アキラの胸は昂ぶった。
「直接触って、いいわよ。揉んでも…舐めてもいいわ。優しくね」
お許しをもらい、アキラはそそくさと作業に取りかかった。フロ
ントホックを幸い、そこに手をかけて、束縛を解放する。
ゆさっ、とあの感触が、ほとんど耳に聞こえそうな勢いで、アキ
ラに感じられた。
健康的なピンクの乳輪が、まずアキラの目を打つ。既に施した愛
撫の成果か、その中心から起き上がる乳首もまた、美しいピンク色
をしていた。
そこへ、たわわに実った果実へ、アキラの指が震えながら触れる。
できるだけ優しく揉みしだき、指をかすめる乳首の固さを確かめる。
摘むようにした指で、乳輪を覆いながら乳首を責めたてると、
「あ…」
艶を含んだ声を、メグミははじめて上げた。
その声がアキラに勇気を与え、指が力と速度を強めていく。摘ん
では引き、指の腹で転がし、時に搾って、徹底的に乳房を愛撫する。
その度に切ない吐息をメグミは漏らし、声でアキラの耳を愛撫した。
「ね…もっと、気持ちよくして、あげる」
メグミが身体を引き、
「ズボンを降ろして。下着もよ。足を開いて…腰を突き出して」
言われるままにしたアキラ、その股間からは既に猛り狂ったもの
が、先端を粘つく液で光らせて、メグミに勇姿を見せ付けていた。
「動かないでね…」
メグミはコンパスを大きく折り、股を割ってアキラの前にしゃが
みこむ。それから自分の乳房を手で左右へ開き、アキラの陽根をそ
こに挟み込んだ。
「お…う」
アキラが感極まった吐息を漏らす。暖かい抱擁を受けた陽根は、
今にも破裂しそうに充血し、メグミに脈動を伝えていた。
「すてきよ。固くて、とっても熱いわ。気持ちいい?」
声にならずに、アキラはイエスを首で伝える。メグミは淫靡に微
笑み、両手で乳房の密度を更に上げ、陽根を圧迫したまま、静かに
上下の揺すりを加え始めた。
肌に薄く汗が浮かび、それが乳房をより一層引き立てる。固くし
こった乳首が、時折アキラの陽根をかすめる。全神経を頭の中で一
本にまとめ、快感をすべて飲み込もうと、アキラはかつて経験した
事のない作業を始め、集中した。
「出すときは言ってね。飲んであげる…」
息を弾ませながらメグミが、魅惑の申し出をする。アキラは嬉し
さの余り暴発させそうになり、背筋に冷や汗を垂らして射精を踏み
とどまった。
白い乳房が、汗でとろみを増してアキラの陽根をしごき上げる。
亀頭に吐きかかるメグミの息が、優しい刺激を追加してくる。
…この乳房を、自由にできるなら。
頭に閃く稲妻を感じながら、アキラは想う。
僕だけのメグミ先生でもなくて、いい。
彼女の正体が何でも、いい。
このオッパイに、弄んでもらえるなら。
こんなことを、してくれるなら。
僕は悪魔とでも、契約を…したい…
「ぼ、僕…先生と、契約…!」
それを絶頂の合図と思ったのか、メグミが艶やかな唇を開いて、
アキラの陽根をほとんど根元まで頬張った。粘膜の刺激とその暖か
い締め付けに、
「くは、ああっ!」
こらえにこらえた分、その衝撃は凄かった。メグミの口の中に、
アキラは大量の精液を吐き出し、陽根を脈打たせて、たっぷり数秒
射精し続けた。
「!ぐ、ごくっ!ごく!ごく!」
大きく喉を鳴らしながら、それをメグミが飲み干してゆく。唇の
端から飲みきれない精液がこぼれ、顎をつたって落ち、ストッキン
グに点々と染みを作った。
「ああ、は…はあ、はあ…」
射精を終えてもなお吸い上げるメグミ、その快感がアキラの腰を
わななかせた。最後に喉がごくりっ、と一際鳴って、
「…」
男なら誰でも勃起させずにおけない、淫びた笑みを浮かべて、メ
グミが立ち上がった。
「契約、成立ね。アキラ君には、この胸をあげるわ。時々、こうし
てあげる…お口はおまけね」
「は、はい!」
でもね、とメグミはアキラの唇に指を当て、
「誰にも秘密よ。明日から電車も別々。それだけは守って」
たったそれだけでいいのか、とアキラは無邪気に喜んだ。
それだけでこの胸を自由にできる、と思うと、単調な学生生活が
一息にバラ色に染まってゆくのが、目に見えるようだった。
カラカラ、パタン。
アキラを置いてメグミが立ち去り、ドアを閉める音がしても、ア
キラはまだ、夢見ごこちの態だった。
壁のデジタル時計が、音もなく時を刻む。落ち着いた印象のイン
テリアでまとめられたその室内には、ガウンを纏ったメグミがいた。
それだけなら美しい、多分に金持ちな、普通の光景だった。
が、その部屋の空気を、影のように立つ男達が異質にしていた。
「足がかりはできたわ。仕込みはこれからよ」
感情を抜いた声で、メグミが言う。男達が頷く。
「ここまで来たんですもの、今更焦りはしないわ。そうでしょう?」
声が続く。男達が頷く。
メグミはワイングラスを手に取り、中身をあおった。深い紅色が
揺れ、白い喉に、昼間濃い精液を飲み干した喉に、流れていった。
「…これからよ」
アキラの知らない顔をして、メグミが呟く。
メグミの戦いは、どうやら始まった、らしかった。
*END*
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